収納の棚板には種類があるって知ってましたか?
快適な家にするのに収納は必須です。
その収納になくてはならないのが棚板。でも普段はあまり目立たないですよね。
でも実はこの棚板には種類があって、適材適所で配置することによって、オシャレでコストパフォーマンスがよくなるんです。
そこで今回のシリーズでは、棚板について掘り下げていきたいと思います。
前編では棚板の種類や設置する場所について
後編ではタッチハウスでの施工例を紹介します。
棚板の種類
棚板には大きく分けて3種類あります。
プリント合板
1つは、収納内部によく使われるプリント合板棚板です。
合板とは、原木を薄くはぎ取った「ベニヤ」を幾層にも重ね、接着剤で張り合わせて板状にした人工の木材です。ベニヤ板とも呼ばれています。
人工の木材なので、大きさや厚みなどサイズが豊富で値段もお手頃。品質が安定していて、加工も簡単で強度も高いです。
樹種は「ラワン」や「ナラ」、「ブナ」などさまざま。
この合板の表面に木目のフィルムが貼られたのが「プリント合板」です。色とりどりの塗装板を貼った「カラー合板」なども販売されていて、これらを使えば、塗装の手間が省けます。
カラーボックスの素材というとわかりやすいかもしれませんね。
集成材
2つめは、部屋の中で見える場所に設置することが多い、集成材の棚板です。
集成材とは、細かな木材を接着剤で接合して作られた人工の木材です。
「ゴム集成材」や「ナラ集成材」「ウォールナット集成材」などさまざまな樹種の集成材が売られています。
1本の丸太でも、木の先端から根の近くまで、部位により強度やしなやかさなどの性質が異なるものですが、集成材はさまざまな部位の木材を接合して作られるため、品質が安定しています。
また、よく乾燥させた木材が使われるため、反りやねじれが少なく、年月が経っても作った棚が変形しにくいのも長所です。
天然の無垢材に比べると安価です。
無垢板
無垢材とは、丸太から切り出した天然の木材です。
「ヒノキ」や「スギ」、「桐」などが日本ではメジャーです。
無垢材の魅力は、なんといっても木目の美しさにあります。木材の色は年月とともに変化して、味わい深さを増します。
自然乾燥の無垢材は時間がたてばたつほど強度が増すのが特徴。
また乾燥すると空気中の水分を吸収し、湿気が溜まると自らの水分を放出する「調質効果」に優れ、カビやダニの発生を抑えるとも言われています。
特に調質効果が高い桐がタンスによく使われるのはそのためです。
一方で、天然の木材なので反りやねじれを持ち、集成材に比べるとやや暴れる可能性があります。
無垢材の扱いに慣れている業者さんにお願いするのがいいと思います。
見える場所の収納に設置する棚板
リビングなどの居室から見える位置に設置する棚は、扉などで隠すことができないので、集成材や無垢板を使うことが多くなります。
特に風合いがよくオシャレに見えるのは無垢の木。選ぶ木によっても雰囲気を変えることができます。
ヒノキやパインだとナチュラルな感じ、チークやオークなどだと重厚な雰囲気に。
ただ、無垢材は暴れやすいのと価格が高いので、多くの場合集成材を使っています。
集成材は木の収縮が少なく安定していて安価なので、メーカーも使いやすいのです。
目に見えない場所に設置する棚板
扉などで隠すことが出来る目に見えない場所に設置する棚は、プリント合板などを使用する場合が多いです。
プリント合板は集成材の1/2の価格ということもあり、見えない場所にコストをかける必要はないと、多く使われています。
ベニヤ板など、化粧板がついていない板を使う場合もあります。
コストパフォーマンスを上げるためには
もちろんコストダウンは必要なのですが、注意したいのは設置する場所です。
例えば湿気を多く含む靴を入れておく下駄箱、湯気の立ち込める洗面所、家の北側のじめじめした場所など。
こういう場所に扉付きの収納を設置する場合、湿気の吸放出を全くしないプリント合板の棚板をつけると、中で湿気が逃げられずに、カビや嫌な臭いを発生させてしまうことがよくあります。
その結果、中にしまったものがカビてしまったり、虫が発生してしまったりすることも。
そうならないために乾燥材を入れたり、ファンを設置したりとかえって出費がかさむこともあります。
集成材はプリント合板の倍の価格ですが、こういうリスクやわずらわしさを回避できることを考えると、逆にコストパフォーマンスがいいと言えます。
無垢材に比べて湿度を吸収しないのではとご心配かもしれませんが、実は人工乾燥の無垢材と集成材の吸放出のパーセントはほとんど変わらないのです。現在は無垢材といってもほとんどが人工乾燥ですから、風合いを気にしないのであれば、集成材一択でいいと思います。
次回はタッチハウスでの施工例をご紹介します。お楽しみに!