ウッドショックって何?後編

こんにちは。タッチハウス広報の平戸です。

前回のブログで世界的に木材が不足する「ウッドショック」についてお伝えしました。

ウッドショックって何?前編 https://www.yamadakenchiku.com/diaryblog/2021/11/post-130.html

今回は「ウッドショック」を受け、実際に地場工務店が感じている現状と、今後の見通しについてお伝えしていこうと思います。
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「ウッドショック」地場工務店のリアル

地場工務店として肌感覚で感じるのは、建材屋さんに行っても、かつては満タンだった倉庫に何もないということ。

特に米松、米栂がなくなってきました。米松、米栂は、輸入量が多く加工しやすく安価なため、主にハウスメーカーで構造材(柱や土台)として使われることが多い木材です。

安価なので、水に弱く腐りやすい、害虫被害にあいやすいなどの特徴があるものの、薬剤の浸透がいい素材なので防虫処理を施して使われています。

ハウスメーカーでは主要な材木ですが、それが入らなくなったので国内材木を探し始めたんですね。

でも国産の木材は前編でお伝えした通り増産が難しいのです。品薄になった結果、柱や梁などが2年前の1.3~1.5倍、ものによっては2.5倍にもなってしまいました。

一般的な木造住宅の見積もり金額のうち木材が占めるのは1~2割前後。

2,000万円の家で200~400万円ほどです。
その木材価格が2割上がったとすると40~80万円アップです。
小さな金額ではありませんが、2,000万円に対してはすごく大きいわけでもありません。

でも、実は木材だけじゃなく他の建材も手に入りにくくなっているんです。だから建材屋さんの倉庫に何も無いのです。

住宅設備は4月に価格改定があり、値上がりしました。

また原油価格高騰を受けて、鉄製品を中心に様々な建材が値上がりしています。
結果的にあらゆる部材・建材・設備が高くなり、建築費全体が高くなっているのが現在の状況です。

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コロナの感染拡大でベトナムがロックダウンになった影響も大きいです。ベトナムに工場のあるトイレメーカーが多いため、トイレ関係の設備も軒並み受注不可能になってしまい(2021年11月現在)納期も見通しがつかない状態になっています。

そんなわけで、施工費に上がった材料費の分が上乗せになったり、材料が間に合わない場合は工期が伸びたりしているのが現状です。

今後の見通し

どうやら今回は長期化の様相で、今後の見通しはすぐには立たないのでは、との見方が多いようです。

現在家づくりを検討中のお客様で、急いでないのでしたら、ウッドショック化の不安定な状態で家を建てるメリットはないと思うので様子見をした方がいいかもしれません。2年、3年待てば価格が下がってくることも考えられるからです。

でもアパートにお住まいとして、このあたりの平均的な家賃として、7万と共益費+駐車場代1万の合計8万の家にお住まいだとして計算します。

2年間の家賃が24×8万で192万円となりますね。

一般的な住宅でウッドショックで上がる価格は100万~150万と言われています。

となると、家賃の方が余計にかかってしまいます。元も価格に戻るかどうかわからないのに待ち続けるより、建ててしまう方がお得ということも考えられるわけです。

数百棟、数千棟建築する大手ならともかく、年間数棟の私たち工務店は事前に材料の調達はできません。ご契約いただいてから調達するのが基本です。

設備や建材も軒並み値上がりしている現在、少しでも早く調達した方が価格を抑えられるのが現状です。

「お子さんの入学までに」といった期限があるお客様は、早めに契約するのをお勧めします。

地場の会社ならではのご提案などまだまだ対応出来る事がありますので、不安だなと感じたら一度ご相談ください。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

また次回のブログでお会いしましょう。


ウッドショックって何?前編

こんにちは。タッチハウス広報の平戸です。

最近よく「ウッドショック」という言葉を聞くことがありませんか?

私も春先にデッキのリフォームをした時に「ウッドショック」で木材の価格が上がってると聞きました。

このウッドショックとは何なのでしょうか?

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ウッドショックて何?

「ウッドショック」というのは、建築用木材の供給が需要に追いつかず、世界的に木材価格が高騰している現在の状況。1970年代におきたオイルショックをまねて「ウッドショック」と呼ばれています。かつてのオイルショックと同様に世界で深刻な問題となっているのです。

ウッドショックが起きた一番大きな原因は、新型コロナウイルスの感染拡大です。

コロナで仕事がストップしてしまったので、多くの企業は従業員を解雇してしまったところへ、感染がおさまってきたアメリカで住宅ラッシュが起こりました。

アメリカでは

1.新型コロナウイルス対策として政府が低金利政策を進めた
2.テレワークの普及で住宅建築に火がついた

という主に2つの理由で住宅ブームが起きているのです。

従業員がいないので、急に需要が伸びても対応ができず、他にもコロナ過による荷動きの変化で輸送用コンテナの数が不足していること、原油の高騰などがおこり、結果として、需要が供給を大きく上回る状態がつづいているのです。

ウッドショックは日本にも飛び火しており、輸入木材はもちろん、少し前まで低迷していた国産木材の価格まで軒並み上昇中です。ウッドショックがいつまで続くかは不透明で、関係者の中には事態が長期化すると予想する人も少なくありません。

「ウッドショック」で木材価格1.5倍に

2021年、日本では輸入木材の価格が前年比1.25倍~1.62倍になり、国内木材も半年で1.4倍に高騰しています。

 
住宅建材として輸入木材が欠かせない以上、ウッドショックは日本の建築業界にとって危機的な状況と言えます。

日本は世界有数の木材輸入国ですが、ウッドショックの中、品質基準が厳しいのに価格が相対的に安い日本市場の優先順位は下がってきてしまっています。木材の流通が他国向けに切り替わると、なかなか日本向けに戻すことが難しいといわれています。

それだけに、ウッドショックを逆手にとって、国産木材の活用を活性化する好機とすることが求められていますが、それも難しい状況があります。

簡単には進まない国産材への切り替え

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日本は森林面積が多い国でもあるため、輸入材が高いのであれば国産材に切り替えればよいと思われがちです。でも国産材への切り替えは簡単には進まないのが現状です。

国産材に切り替わりにくい理由

そもそも林業は30~50年程度のスパンで商品を出す産業で、一時的な需要に対して反応することが難しい業種です。しかも林業従事者が高齢化し、増産自体が難しくなっています。

仮にに国産材に切り替えようとしても供給体制が追い付かないという現状があります。柱で使うスギやヒノキが供給できたとしても、肝心の梁で使うカラマツなどを市場で求められる量まですぐに供給することができないのです。


ウッドショックによる建築用木材価格の上昇は、工事予定額を大幅に上昇させる可能性があります。マイホームの建築を考えている方は情報をチェックしておくのをおすすめします。

次回はウッドショックで実際に工務店が感じている現状をお伝えします。お楽しみに!