無垢材の塗装による違いって?

こんにちは。

タッチハウス広報の平戸です。

天然素材で家を作る時、面積の多くを占める床材を何にするかはとても重要です。

「無垢の床板ならどれでも湿度を調節してくれるよね」と思っているあなた。

実は無垢の床板でも様々な塗装をしてあるものがあり、中には調湿効果が失われているものもあるんです。

今回はタッチハウスの代表山田から、床板の「塗装」について詳しく聞きました。

塗装の種類

一口に塗装と言っても、多くの種類があり、その目的や効果はさまざまです。"これを選んでおけば大丈夫"というようなオールマイティな塗装方法はありません。

それだけに塗装によってどのような効果が得られるのか、どんな仕上がりになるのかなどの情報を知っておくことで、無垢材に対する楽しみが大きく拡がり、採用した後の満足度が高まります。

塗装には、大きく分けて「浸透性塗料」による塗装、「コーティング系塗料」による塗装があります。
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浸透性塗料

浸透性塗料は塗料を木材に浸透させるもので、木の質感を活かすことができます。植物オイルや蜜蝋ワックスなどがあります。

表面に固い塗膜を作ることがないので、湿度の調節効果があります。

コーティング系塗料

表面にウレタン樹脂などの塗膜を作る塗装がコーティング系塗装。木の質感は薄れてつるつるした仕上がりになります。

傷や汚れがつきにくいのが特徴ですが、一度傷がつくと目立ちやすく補修はできますが、

表面に塗膜を作るため、調湿効果はありません。

素性のいい無垢の床板は塗装していない

基本的に浸透性塗装は、無垢の床板を張って現場で施工するのに対して、コーティング塗装は工場で塗装してから出荷されます。

では、塗装してある床板と、塗装していない床板だとどちらが値段が高いと思いますか?

「塗装するってことは塗装材の材料費もかかるし、塗る手間もかかるのでどう考えても塗装してるほうが値段が高くなると思うけど」

ですよね。

ところが...

実際は塗装していない無垢板の方が値段が高いのです。

えーー!なんでーー?

実は塗装して販売している床板はシミや色ムラなどが多い床板なんです。それを目立たなくするために塗装をしていることが多いのです。

木は天然のものなので、風雨で枝が折れたりするとそこから水が浸み込んで染みになったり、色ムラになったりします。

それが自然なのですが、床板の場合はやはり染みのないものが好まれます。

塗装するとシミなどが目立たなくなるので、そういう床板は塗装に回されることが多くなります。そして染みや色ムラのない木材は全体の中でも数が少なく希少なので無塗装の方が高くなってしまうのです。

時間を経るに従って味わいが増し、愛着が深まるのが無垢材という自然素材の大きな魅力。

その魅力は塗装によって大きく変わります。無垢の床板ならどれでも調質効果があるというわけではないので注意が必要です。

調湿効果や無垢の板の自然な風合いや温かさなどをイメージされているなら、「浸透性塗料」による塗装がおススメです。

今回は山田代表に、床板の「塗装」について聞きました。
この記事があなたの家づくりのお役に立てれば大変うれしく思います。


「太る」床板 「痩せる」床板

こんにちは。タッチハウス広報の平戸です。

無垢の板で床を張ると、板と板の間に隙間ができて日が経つほどに痩せていくのが普通なのですが、楢の木で床を張ると床板が太ってしまうという現象が起こるのをご存じでしょうか?

今回は山田代表による、床板材の不思議な話です。

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実は最近知り合いの家の床板が盛り上がって弾けてしまったのです。

え?床板が弾けるってどういうこと?と思いますよね。

そのお宅の床には無垢の楢の床材が張られていて建ってから15年ほど経つのですが、実は何年も前から床が盛り上がっていたのだそうです。

無垢の床板というのは夏場は湿気を吸ってふくらみ、冬は乾燥して収縮します。それを繰り返しながら何年か経つとだんだん収縮していきすきまがあいてくる...つまり「痩せる」のが普通です。

ところがこの楢の木は、ちょっと普通じゃないんです。

なんと、「太る」木なんです。

床板を張る時には隙間なくぴっちりと張っていくのがセオリー。夏冬の湿気で膨張と収縮があるといいましたが、出荷時の床材は湿度管理がされているので隙間なく張れるようになっています。

普通なら経年で木がやせてすきまがあいてくるはずなのですが、楢の床板はこちらのお宅のように木が太ってくるのです。何年もかけてゆっくりと!

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そしてとうとう耐え切れずに盛り上がって弾けてしまったというわけなんです。

昔は無垢の床板の中に手ごろな値段で買える乱尺という、板の長さがバラバラの床材がありました。

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その中でもとりわけ安価だったのが楢の木。継いで使えば安く済むので一般的によく使われていたのです。

その楢の乱尺を使うと、微妙な幅の違いがありカンナで削り着けるのですが、隙間があいて不格好になってしまったなと思っても、

1年後とかに見るとピッタリ隙間がなくなっていて「変だな」と思うことがよくありました。

私の場合はこういう長年の経験から、楢の木は太ることを知っていたのですが

今回の事件は、それを知らない業者さんが施工したために起こったことでしょう。

このように経験の少ない施工業者は、安くて安価で雰囲気もよい楢の木を安易に使ってしまうことがあります。

近年はこういったことが大分知られてきて、床材を張る時に隙間をあけるようにと木材メーカーが推奨するようになってきました。

ただ、経験上他の木材でこんなことは起こったことはありません。気をつけなければならないのは楢の木だけです。

でも木材メーカーはクレーム防止のために、全ての木材で隙間をあけて施工するよう注意喚起するようになってきました。

こういった事情を知らない施工者だと、まじめに全ての木材ですきまをあけているのですが、隙間をあけて施工するというのはひと手間かけることなので、

それはそのまま手間賃としてお客様の負担になってしまうのです。

経験豊富な施工業者さんなら、無駄のない施工をするので、それが価格にも反映してくると思います。

今回は山田代表による太る床板と痩せる床板についてお伝えしました。

長持ちするいい家を建てるには、施工業者さんとよく話をして経験が豊富な業者さんを選ぶことが不可欠です。
木材は色んな癖をもっています。その個性を生かして施工してくれる業者さんをぜひ探してください。

今回の記事が、家を建てたいと思っているあなたの施工業者を選ぶ時の判断基準の一つになれば幸いです。