「太る」床板 「痩せる」床板
こんにちは。タッチハウス広報の平戸です。
無垢の板で床を張ると、板と板の間に隙間ができて日が経つほどに痩せていくのが普通なのですが、楢の木で床を張ると床板が太ってしまうという現象が起こるのをご存じでしょうか?
今回は山田代表による、床板材の不思議な話です。
実は最近知り合いの家の床板が盛り上がって弾けてしまったのです。
え?床板が弾けるってどういうこと?と思いますよね。
そのお宅の床には無垢の楢の床材が張られていて建ってから15年ほど経つのですが、実は何年も前から床が盛り上がっていたのだそうです。
無垢の床板というのは夏場は湿気を吸ってふくらみ、冬は乾燥して収縮します。それを繰り返しながら何年か経つとだんだん収縮していきすきまがあいてくる...つまり「痩せる」のが普通です。
ところがこの楢の木は、ちょっと普通じゃないんです。
なんと、「太る」木なんです。
床板を張る時には隙間なくぴっちりと張っていくのがセオリー。夏冬の湿気で膨張と収縮があるといいましたが、出荷時の床材は湿度管理がされているので隙間なく張れるようになっています。
普通なら経年で木がやせてすきまがあいてくるはずなのですが、楢の床板はこちらのお宅のように木が太ってくるのです。何年もかけてゆっくりと!
そしてとうとう耐え切れずに盛り上がって弾けてしまったというわけなんです。
昔は無垢の床板の中に手ごろな値段で買える乱尺という、板の長さがバラバラの床材がありました。
その中でもとりわけ安価だったのが楢の木。継いで使えば安く済むので一般的によく使われていたのです。
その楢の乱尺を使うと、微妙な幅の違いがありカンナで削り着けるのですが、隙間があいて不格好になってしまったなと思っても、
1年後とかに見るとピッタリ隙間がなくなっていて「変だな」と思うことがよくありました。
私の場合はこういう長年の経験から、楢の木は太ることを知っていたのですが
今回の事件は、それを知らない業者さんが施工したために起こったことでしょう。
このように経験の少ない施工業者は、安くて安価で雰囲気もよい楢の木を安易に使ってしまうことがあります。
近年はこういったことが大分知られてきて、床材を張る時に隙間をあけるようにと木材メーカーが推奨するようになってきました。
ただ、経験上他の木材でこんなことは起こったことはありません。気をつけなければならないのは楢の木だけです。
でも木材メーカーはクレーム防止のために、全ての木材で隙間をあけて施工するよう注意喚起するようになってきました。
こういった事情を知らない施工者だと、まじめに全ての木材ですきまをあけているのですが、隙間をあけて施工するというのはひと手間かけることなので、
それはそのまま手間賃としてお客様の負担になってしまうのです。
経験豊富な施工業者さんなら、無駄のない施工をするので、それが価格にも反映してくると思います。
今回は山田代表による太る床板と痩せる床板についてお伝えしました。
長持ちするいい家を建てるには、施工業者さんとよく話をして経験が豊富な業者さんを選ぶことが不可欠です。
木材は色んな癖をもっています。その個性を生かして施工してくれる業者さんをぜひ探してください。
今回の記事が、家を建てたいと思っているあなたの施工業者を選ぶ時の判断基準の一つになれば幸いです。