あなたには長期優良住宅は必要かVol4

こんにちは。タッチハウス広報の平戸です。

家を建てようと色々勉強をしていると、長期優良住宅というのを耳にすることが多いと思います。

税制面の軽減制度や住宅ローンの金利優遇など様々なメリットのある長期優良住宅ですが、デメリットもあるとも聞きます。さてじゃあどうすればいいのでしょう?

そこで今回は長期優良住宅のメリット・デメリットを調べてみました。

この記事を読むと、長期優良住宅メリットもデメリットがわかり、自分に必要かどうか判断することができるようになります。

長期優良住宅を検討されている方はぜひご参考にしてみて下さい。

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Vol1では長期優良住宅とは何か

Vol2では長期優良住宅のメリットについてお伝えしました。

Vol3では長期優良住宅のデメリットについてお伝えしました。

第4回目の今回はVol2とVol3でお伝えしたメリットの捉え方は正しいのか、デメリットは本当にデメリットなのか、その本質をみていきましょう。

前回までに、長期優良住宅のメリット、デメリットについてお伝えしてきましたが、特にデメリットとされる手間とコストアップは「長期優良住宅だから」必要な物なのでしょうか?

品質の高い住宅に長く安全に住むために必要なもの

〈点検口を付ける〉〈耐震性を高める〉〈断熱性アップ〉など住宅性能の向上やそれに伴う建築コストの増加は、目に見えない断熱や耐震、省エネ性能といった品質を実現するためには避けて通れないものです。

また定期メンテナンスをすることで、症状が現れる前に対応できるので部分的な補修で済み、逆にコストを削減できたりします。

特にキッチンなどの水回りなどは見えない所で水漏れが進行していたりすることもあります。水は住宅の大敵。早めの点検によって大規模な補修を免れることはよくあります。

税金の優遇措置もよく見てみるとそれほどメリットではないといえます。

税金は実質そんなに安くならない

長期優良住宅では、控除対象限度額が5,000万円と一般住宅に比べて+1,000万円の増額、所得税からの最大控除額は500万円と+100万円お得でした。

ただ、一般住宅も4,000万円の控除を受けることができます。

つまり、優良住宅を建てても住宅ローンの総額が4000万円以上ないなら一般住宅の範囲内におさまるためお得になりません。

また、一般住宅であっても所得税からの控除額は最大400万円(=年間40万円×10年間)です。

毎年の所得税が40万円以下であれば、優良住宅だからといって所得税が安くなる効果はありません。

投資型減税についても、住宅を現金で買うということは一般的にはあまりないパターンです。

不動産取得税も、課税標準額が1,200万円以下の住宅であれば、1,300万円まで控除する長期優良住宅の減額効果はなく(一般住宅の特例措置の範囲内に収まり)、不動産取得税の効果はありません。

登録免許税も長期優良住宅のメリットの時にご紹介したように安くなる金額はそんなに多いものではありません。一般住宅に比べて、登録免許税と不動産取得税であわせて5万円に満たない減額効果しかないでしょう。

固定資産税の減額措置に関しても、長期優良住宅であれば、2年分減税措置が長くなるので、減額効果としては10~30万円と考えられますが、長期優良住宅の場合、一般家屋にくらべ課税評価額が上がるため、固定資産税が上昇します。

なので、減税措置延長の減少効果と、固定資産税の上昇効果を合わせて考えるとお得感はかなり薄れることになります。

こんな風に税金面では実質はそんなにお得ではないといえるのです。

節税のために質の高い家を建てるのではない

ただ、よくよく考えてみると「いい家を作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」という流れに社会がシフトしているということが言えると思います。

現在は過渡期にあり、住宅会社も流れについていけていない部分も多く、そのために国は税制面などで補助して流れを変えていこうという意図があります。

つまり、世の中の建築の流れは、スクラップ&ビルドの時代から長く住まう住宅の時代へ変革しようとしているのです。

この流れでいくと、少し先の未来では長期優良住宅が当たり前になっている可能性が高いと思われます。この流れの中に節税対策があるんですよね。

なので節税のために質の高い家を建てるのではなく、長く持ついい家を建てたい人を応援するための節税ということなのです。

お得になるからそれに合う住宅を建築するのではなく、どのような住宅に住みたいか。それをご自身の軸にすると自ずと答えが見えてくると思います。


認定しないという選択肢もある

長期優良住宅の認定を受ければ、フラット35の金利優遇が受けられたり、地震保険料の割引を受けられたりしますが、これは長期優良住宅の認定がなくても、耐震等級など適合証明書が取れれば適用されます。

認定を受けなくても同等の水準の住宅なら、経年劣化を防ぎ質の高い住宅を維持できます。

行政の介入は、建築会社によるまだまだムラのある施工を、基準を設けることでより高品質な施工にすることが目的です。逆に言えば、高品質な施工をしてくれる信頼できる施工会社があるなら、行政の介入は必要ないと言えるのです。

認定しようがしまいが、資産価値を下げないよう住宅を大切に使うことが大切であることに変わりはないのですから。

もちろん「認定長期優良住宅」という国のお墨付きがあれば、分かりやすくインパクトがあるでしょう。特に売却の可能性がある場合や、30年後、50年後のリフォームを考えるとメンテナンス住宅履歴が残るのはメリットが大きいでしょう。

今回はメリット、デメリットから見えてくる本質を考察してみました。

国土交通省、経済産業省、環境省が共同で設置した「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」で新築住宅が新たな省エネ基準に合致するよう義務付けされました。

力の入れ具合も相当なものです。

すべての新築住宅と段階を追って義務化される予定で、既に動き出しているのです。

その先には、「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」などを駆使し、創エネルギー≧消費エネルギーとなる「ゼロエネルギー住宅」があります。

これまでは"品質の高い住宅"といってもいまいち不明瞭でしたが、これからはこの長期優良住宅が住まいの参考基準になっていくでしょう。

認定するしないに関わらず、そのことは念頭においた家づくりをすることが必要になってくると思います。

今回の記事があなたの家づくりの参考になれば幸いです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。